長い長い回想が終わって気がつくと、海は少し遠ざかっていた。それでもまだ海岸沿いの道は続く。いつの間にか日光のせいで髪の毛がものすごく熱い。ああ気をつけなきゃいけないのに、と少し自分に呆れた。このまま何も考えず日除けゼロで歩き続けたら、アパートに着く頃には日射病だろう。
 どこか建物の影で休もうかな。そう思った時、長い上り坂の向こうがやけに騒がしくなった。複数の声、観光客だろうか。あまり気に留めず、日陰の路地もしくは喫茶店の類を目で探す。と。
 耳に飛び込んできた会話の切れ端は、三年間慣れ親しんだ異国語の。
「……だからさ、やっぱさっきの角左だろ?……」
「んなハズないわよ!ほら…、……の地図の…こ!!」
 そして今度は若干甲高い大きな声がはっきりと。
「あーもー、やっぱり普通に報せて迎えに来てもらえばよかったのに!!」
「うるせーな!アニキだってノリノリだったじゃねーかよ面白そーだって!」
「双方騒音、……猛暑…、……意」
「注意って言ってもね~…もな……た…」
 それから最後に聞こえた、うめき声とも呼吸音とも何ともつかない妙な音(でも王にはそれが人の声だということがよく分かっている)を聞いたときには、王は駆け出していた。









 ねえ、みんなは僕を憶えてくれていますか?
 もし今僕がそこへ行ったら、変わらずに僕の居場所はあるのでしょうか。

 ――自惚れてもいいかな、ほんとは、皆ならきっとこんな質問、「つまんないこと訊くな」って言って笑ってくれる。そう思ってるんだ。
 だってあの日々は、全くもって色んなことが詰まっててその中には青春なんて美しい言葉では覆いきれないほど醜いことも厭なこともたくさんあって。それでも僕は、貴方たちを大好きだと言うことが出来るんだよ。一片の嘘偽りなく。
 たくさん見てきた貴方たちの色んな顔、その中に、ホンモノの表情もちゃんと入ってたと信じてる。そしてその真実はもちろんのこと、時に混じった偽りの顔でさえ、抱きしめたいほど愛おしい。
 ハッキリ言おう、自惚れと言われても構わない。けど僕は、そんなふうに大好きな君たちに、君たちがくれたと信じる愛に、恥じないようにずっと生きてたつもりなんだ。だから……だから。

「――…みんな!!」

 だから、手を伸ばして踏み出したなら、抱きとめてくれる腕を――期待してもいい?
















 思い返せば懐かしすぎてそれだけで涙が出そうになるかつての記憶。
 たくさんの思い出。
 もらった愛情。居場所。

 きっと、一生忘れない。忘れるはずもない。


 だってそれは今ここに海さえ越えて、溢れているんだ。



 「――会いに来たよ。」
「うん…うん。ありがとウ」



 照れたように笑う君たちに、僕は、感謝と愛をめいっぱい込めて笑おう。
 空も海もつながっている。僕らの心も三文字の約束も、きっと。





















                                            ----------------End.



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 実はこの話、もう一年以上も懐で温めていました。というか、思いついたのが昨年(’06)の2月だか3月だかで。それからもそもそと書きはじめたものの、完成する前に日朝は寮生活を余儀なくされて作業続行困難となったのです。その時にはもうこれはこのままお蔵入りかしらと思ったのですが、すでに書き終わった前半部分にお気に入り部分がかなりあったのと、元々「書きたい!」と思っていたのが別離の寂しさではなく再会できる嬉しさとか信じられる誰かがいることの愛しさとかでそれを入れられる所がまず間違いなく後半部分だったことから、なんとか創作意欲を継続させられました。あとなにかガッカリされそうなしょぼい動機を暴露すれば、最初の序文がかなり気に入ってしまったのでそれを活かしたラストを書きたくなったというのがあります。さもしい。(痛)

 ちなみに発想のきっかけは音楽。Kの「Bye My Friends.」。自分が知らないうちにみんなにもてはやされ始めたものにはとりあえずなんか乗りたくなくなるかわいそうな性分から韓流ものをことごとく拒否し続けていた(あとベタベタの感動恋愛物が苦手というのもあった)私は、Kも当初「オバさんたちに人気なだけだろ」と超失礼なこと思って鼻で笑っていました。がしかし、母がはまってアルバム買ってきて車の中で半強制的に聴かされ始めてみた所、…結構バカに出来ない曲いっぱいあったんだなこれが…!(汗)
 前述の曲は中でも特に気に入ってしまった一曲です。Kは非ラブソング時の歌詞が妙にいい…『1ℓの涙』主題歌のアレなんか代表。でもラブソングになると妙にエロい歌詞になるので、車内(=家族の前)で口ずさむの時々気が引けます。笑。
 えーと話戻して、例の曲。これが、ちょうど高校卒業を控えた春先という時期もジャストフィットし、どっきりきまして。それからなんでかワンタンが故郷に帰る時の話妄想に繋がりました。この曲、全体はサビの「今はため息空に散る」や「いつもの笑顔作れない」などがあるように、結構“お別れ寂しい…”な感じです。だから小説の方も大部分切なめになりました。でも最後のシメは「これが最後の別れじゃない」で、何回聴いても一番ぎゅっとくるのはこの部分で、だから一番書きたかったのはそこでした。ワンタンのというか私の七橋への愛ばかり詰め込んでしまった気もしますが…(ォィ)

 うん、大好きです。セブンブリッジの、仲間大好きな彼らが大好き。大人になって散り散りになってもみんな仲良しだといいな。


 …でもメジャーメンバーの五人以外ろくに書いてなくてごめんね。(すいませんせめて見送りシーンはレギュラー陣ぐらい全員出すべきだろうなあと思いはしたんですが気力が足りませんでした 日朝の脳内では野球部全員授業サボりってのもアレなので部内でこっそり見送りメンバー争奪腕相撲大会があったという隠し設定で無理矢理納得されています(最初はくじ引きだったけどそれだとレギュラーばっかというのが説明付かないので変更(せこい)))